海外から日本への移住、逆に日本から海外への移住、どちらもニュース等でよく耳にするものです。
例えば、日本への移住については、
政府は高度な能力を保有する人を受入れる政策として在留1年で永住権を与えることを発表しています。
逆に、日本から海外に移住することについて、外務省の海外在留邦人数調査統計によると、
2022年10月1日時点で生活拠点を日本から海外に移した
「永住者」は過去最高の約55万7000人になったようです。
そこで永住について取り上げたいと思いますが、
今回は、日本に永住することについて、詳しくみていきましょう。
「永住権」(一般論)とは?
「永住権」とは外国人が、在留期間を制限されることなく滞在国に永住できる権利のことです。
出入国管理及び難民認定法第22条では永住許可と呼ばれ、
これは在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に、
法務大臣が与える許可を指します。滞在国で永住権を持つ外国人や永住許可を受けた外国人を永住者と呼びます。
永住者が享受できる権利は、その国の国民における権利とは全く同じにはならず、
ある程度制限されたものになります。
制限される内容は、選挙権、被選挙権、軍、警察、役所など公的機関への就職、
土地の所有、パスポートの取得などにおいて一定の制限を受けるといったものです。
その他に、一定期間を超えてその国から離れると、
永住権が剥奪あるいは消滅する事になっている国も存在します。
日本における「永住権」
日本では、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号による別表第二の「永住者」、
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する
特例法(以下「入管特例法」)第3~5条に定められた「特別永住者」がこれに該当します。
A.入管特例法上の永住者はサンフランシスコ平和条約発効時に日本に在留していた在日朝鮮人・在日台湾人およびその子孫で、日本国内で出生したものに与えられます。
B.出入国管理及び難民認定法別表第二の永住者は
・在留期間は無制限
・出入国管理及び難民認定法の定める職業に就く限り制限無し
などの資格が与えられ、在留資格更新の手続きなどが不要となります。
永住許可が与えられる条件は・・・?
- 10年以上在留(日本人の配偶者がいれば3年以上、日本への 貢献が認められれば5年以上)
- 独立した生計を営むに足る資産または技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合致すること
などがあり、申請者は出入国管理及び難民認定法第22条
および同条の2に基づき申請手続きを行い、法務大臣によって許可されます。
なお、定住者は永住者とは異なり、特別な理由のある場合、
法務大臣が個別に判断して許可するものです。
永住者と同じく職業に関する制限がなくなるが、在留資格の更新は3年または1年間隔で行う必要があります。
永住者の近親者を日本に呼び寄せる場合などに利用されることが多いと言われています。
審査基準は・・・?
①素行が善良であること
②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
(注)日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子の場合は、
①及び②に適合することを要しない。
であり、永住許可を取得するまで上記の基準ですが、一度取得すると
税金を滞納したり些細な罪を犯しても、剥奪されることはありません。
但し、重罪を犯した場合は永住許可を剥奪されることがあります。
「永住権」の申請方法
永住権申請は次の2つのパターンがあり、その申請は原則本人が行います。
現在持っている在留資格から永住者の在留資格へと変更したい場合
A.変更の期限は、在留期間の満了する日以前です。
永住許可申請中に在留期間が過ぎてしまう場合については、
別途「在留期間更新許可申請」が必要です。
在留期間更新許可申請は、在留期間の満了する日までに行います。
B.費用は、許可された場合に8,000円が必要です。
(注)在留資格とは、外国人が入国・在留して行うことのできる活動等を類 型化したものです。
日本では出入国管理及び難民認定法(入管法)とその下位命令(施 行規則)により規定されています。
現在は計27種類の在留資格が定められ、それぞれに該当要件、付与される在留期間等が公表されていますが、
実際の許否判断については出入国在留管理庁(旧入国管理局)
地方出入国在留管理局(旧地方入国管理局)の最上級行政庁である法務大臣の裁量によるものとされているため、
その詳細(通達等)は公開されていません。
出生などによって永住者の在留資格を取得する場合
永住権の取得については、出生その他の事由発生後30日以内に申請します。
なお、この取得の場合、手数料はかかりません。
法務省は、申請~結果が出るまでに4ヶ月と公表しています。
ただし、永住権の審査は厳しく、他の在留資格より時間がかかります。
6か月以上かかることもあるようです。
在留資格「永住者」、「特別永住者」、「帰化」との違い
間違えやすい3つについて、その違いを紹介しましょう。
「帰化」と「永住者」との違い
「永住者(永住権)」と間違われやすいのが「帰化」です。
「帰化」は日本国籍を取得することをいいます。
外国籍ではなくなり、簡単に言えば日本人になることなので、
在留資格制度からは外れます。
日本人が受ける社会保障などの権利も、全て同じように受けられることになります。
一方、「永住権」は在留資格「永住者」のことですから、
あくまで「外国人」として日本に在留し続けるものです。
帰化の申請・承認は永住権より更にハードルが高くなります。
また、日本では二重国籍が認められていないので、
日本国籍を取得したい場合には、元々の国籍を手放す必要があります。
元の国籍に戻したいと思った時に、
国籍を取り直すことが大変難しい国もありますので、帰化には十分な検討が必要です。
「特別永住者」と「永住者」の違い
「特別永住権」とは、1991年11月1日に施行された
「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」
に定められた在留資格を持っている外国人のことです。
日本は第二次世界大戦に敗戦し、サンフランシスコ平和条約によって
占領していた朝鮮半島や台湾などが領土ではなくなりました。
これにより日本国籍を失った人々と、その子孫に対して永住を許可したものです。
特別永住者の数は減少していますが、まだまだ雇用することもあるでしょう。
そして、「永住者」と「特別永住者」の大きな違いは、在留カードです。
・永住者 … 在留カードの交付あり
・特別永住者 … 在留カードの交付なし。代わりに特別永住者 証明書を交付
まとめ
海外から日本に移住された方、永住権取得、おめでとうございます。
でも、ご注意頂きたいことがあります。せっかく取得された権利も、次のことに反すると、その権利が消えてしまうことがありますので、それを防ぐため、最後にこれらをお読み下さい。
- 再入国許可
永住許可を受けていても、「再入国許可」を受けずに出国したり、有効期限内に再入国しないと、永住の在留資格も消滅します。
- 在留カードの有効期限
永住者の在留カードの有効期限は7年です。更新手続きをお忘れ無く。
- 実刑判決
1年以上の実刑判決を受けた場合には、永住者でも、母国に強制送還されます。これは当然でしょう。
- 居住地の届け出
引越しをしたときは、14日以内に新しい住所を市区町村役場に届け出る必要があります。居住地不明となれば、怪しまれます。お忘れ無く。