「ふぅ・・セーフ、危なかった」、「あらら、私は超えちゃった」
12月になると、職場の片隅でよく耳にする会話です。
そうです、年収130万で調整して働いているパート主婦にとって、
税金額や社会保険料に大きく関係する「年収の壁」は大きな関心事ですね。
この「年収の壁」には「103万円の壁」、「106万円の壁」、
「130万円の壁」、「150万円の壁」というものがありますが、
今回は、この「130万円の壁」について、取り上げたいと思います。
130万円の壁とは
130万円の壁とは、配偶者や親などの社会保険の扶養に入っている人は、
主婦(夫)だけでなく、学生、フリーターなど立場によらず関係する年収のボーダーラインのことです。
130万円以上の年収になると、パートやバイト先の健康保険と厚生年金に加入するか、
加入できない場合は国民健康保険と国民年金の保険料を負担することになります。
なお、「130万円の壁」は掛け持ち含めた合計年収で判断されます。
加えて配偶者や親などにとって扶養対象外とされてしまいますから、
健康保険料・年金保険料の負担義務が生じます。
130万円の壁、うっかり超えてしまったら・・
年収が130万円以上になると、社会保険の扶養から外れてしまいます。
しかし、130万円以上になったからといって、即座に扶養から外れる訳ではありません。
配偶者について社会保険の扶養から外すかどうかは、収入状況から総合的にされます。
過去の収入状況や現時点での収入、将来の収入の見込みなどで判断されるため、
ある時点において130万円以上になっても、直ちに社会保険の扶養から外れなければならないということにはなりません。
特に今は新型コロナウイルス感染症の影響で、一時的に収入が増え、
社会保険の扶養範囲を超える配偶者が出てくることが想定されています。
厚生労働省は、全国健康保険協会や健康保険組合に対し、
こうした一時的に年収が扶養の範囲内を超える配偶者に対して直ちに扶養から外すことのないよう、指示しています。
年収が130万円を超えても、基本的にどこからも連絡はきません。
パート先などが配偶者の扶養範囲で働くパート・アルバイトに対する配慮から
130万円を超えそうな場合に教えてくれる場合はありますが、
基本的には収入の把握・コントロールは自分自身でしっかりと行う必要があります。
万が一、うっかり130万円を超えてしまった場合は、会社に事情をきちんと説明するようにしましょう。
その他の「年収の壁」
103万円の壁
103万円の壁とは、まず「自分のパートやバイト代が、年103万円以内であれば、所得税が掛かりません」
という年収のボーダーラインを指します。
103万円を超えると、超えた分に対して所得税(+復興特別所得税)が課税されます。
103万円超の所得税がいくらになるかは、超えた分のみ1万円あたり500円程度を目安にするとよいでしょう。
なお、パートの主婦(夫)については、2018年以降、
配偶者控除の適用が103万円から150万円と枠が引き上げられたため、
扶養家族の税金控除という面では、103万円は関係なくなりました。
106万円の壁
106万円の壁とは、学生以外の社会人を対象とした勤務先各社での社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件の年収目安です。
パートやバイト先の会社が101人以上で、
会社と約束している労働条件から年収約106万円以上が見込まれると、
パート先の社会保険への加入義務が発生します。
夫(妻)や親などの勤務先の社会保険の扶養に入っているパート主婦(夫)やフリーターは、
扶養を外れて自分で保険料を払うことになります。
150万円の壁
150万円の壁とは、夫などの扶養者の配偶者特別控除を満額の38万円を受けるための、
妻(被扶養者)の年収上限が150万円ということです。
2018年より満額の枠が103万円から150万円に引き上げられています。
まとめ
政府は、労働力不足の観点と、年金収入確保の両面から、この「年収130万円の壁」解消に向け、制度見直しを表明しました。
ありがたいお話ですが、なかなか難しい課題とされているようで、
130万円の壁がいつ無くなるのか、そもそも無くなるのかも未定です。しかし、この動向には十分に注視していきたいですね。