今は「フェイクニュース」など、ねつ造したものが溢れ、嫌になりますが、エイプリールフールは違いますね。
特にイギリスでは、大掛かりな「嘘」をつくことが、国民あげての大イベントになっています。
そして意外にもみんなころっと信じるのですが、あっ、エイプリールフールだと分かって、毎年みんな大笑いしています。
しかし、その起源とか、ルール(えっ、あるの?)等はあまり知られていませんね。
そこで、今回はこのエイプリールフールについて勉強してみましょう。
エイプリールフールの起源
実は、エイプリルフールの起源はよく分かっていないのです。
有力とされる起源説を幾つかありますが、どれも確証がないので、仮説の域を出ていないのです。
起源は洋の東西を問わず、以下の通り諸説あります。
フランス起源説
その昔、ヨーロッパでは3月25日を新年とし、4月1日まで春の祭りを開催していましたが、
1564年にフランスのシャルル9世が1月1日を新年とする暦を採用しました。
ところが、これに反発した人々が、4月1日を「嘘の新年」とし、馬鹿騒ぎを始めました。
イギリス起源説
イングランドの王政復古の記念祭であるオークアップルデー(en:Oak Apple Day)に由来を求める説があります。
この日はイギリス国王に忠誠を誓い、その証としてオークの実や小枝を帽子や襟元に付けるのですが、それを付けるのは午前中です。
でも付け忘れることもあって、それがやがてエイプリールフールになったという説です。
インド起源説
インドの仏教徒は、春分の日から3月31日まで厳しい修行を行う習慣があります。
しかし、修行から解放された4月1日はせっかくの努力の甲斐もなくあっという間に俗人に戻ってしまいます。
このことが「修行がムダになる」と、人々の笑い種になっていました。
それで、いつの間にかこの4月1日を「揶揄節(やゆせつ)」と呼び、
他人にムダなことをさせて面白がる習慣ができており、やがてエイプリルフールになったと言われています。
実は日本にも4月1日に特別な習慣がありました。
江戸時代、4月1日を「不義理の日」とし、
不義理(お金を返していなかったり、約束を破ったり、嘘をついていたり)を手紙で謝る日でした。
それが、大正時代に多くの欧米習慣が伝わってくると、
この中で「不義理の日」も欧米習慣と混ざりあい、やがて「エイプリルフール」に代わっていったというものです。
どんな「嘘」をつくのか
イギリスではBBCなどのテレビ局から新聞まで、国を挙げて本気でこの日に「まさか」の嘘をつきます。
中でも、BBCが1950年代以降、大々的に嘘をつくのが恒例となっています。
例えば、1957年。木から生えたパスタが大量に収穫されたという番組を放送し、
視聴者からの問い合わせが殺到しました。これは、現在まで伝説になっているものです。
1980年、ビッグベン(現エリザベスタワー)の老朽化に伴い、
デジタル時計に改修するので、使わなくなった長針、短針をオークションに出すなどと発信。
こちらのオークションにも申し込みがあったとか。
この他、2013年には、大衆紙のDaily Mailはベストセラーの「ハリーポッター」人気に乗じて、
「魔法の国の映画で使われていた『ふくろう便』のサービスがもうすぐ実現されます」と報じ、
待ち望んでいたふくろうファンは騙されてがっかりしたものです。
一方で、嘘を本当だと信じてしまった悲劇も・・・
1939年、まだエイプリルフールがあまり浸透していない時代、
エクアドルで火星人が襲ってくるとラジオ番組が嘘を付き、人々はパニックになりました。
そして、火星人襲来が嘘だと分かると、
人々は怒りでラジオ局を襲撃し、嘘を付いた側の人などが殺されてしまう悲劇が起こりました。
これより古い事件ですと、1698年にライオンをロンドン搭で入浴させるとのフェイクニュースに人々が殺到しました。
19世紀には偽チケットで詐欺師が数百人以上の人を騙すという事件もありました。
エイプリルフールがまだ人々に知られていない時代は、嘘を付く日なんて思い付かないですね。
エイプリールフールの嘘がNGの国
こんな風に、嘘をついて大騒ぎするエイプリールフールですが、これがダメな国もあります。
中国では、エイプリルフールで嘘の発言を慎むよう、
政府やメディアから呼びかけられています。
文化的な伝統や社会主義の価値観にそぐわないというのがその理由です。
イスラム教徒が多いインドネシアやマレーシアなどは、エイプリルフールの嘘が禁止となっています。
イスラム教のコーラン(聖典)は「嘘はついてはいけない」となっているため、
宗教上の理由でたとえエイプリルフールでも嘘をついて人をからかうのはNGになっています。
もし友人がイスラム教徒なら、エイプリルフールの嘘も止めておいた方がいいでしょう。
エイプリールフールのルール
こうした様々なことを踏まえて、という訳ではありませんが、
はエイプリルフールは「基本的なルール」があるってご存じでしょうか?
外国のルール
外国には色々な決まり事があるようです。
代表国として、ここでは、イギリスのルールを見てみましょう。
イギリスのエイプリルフールには、「真剣に嘘をつく」というルールがあるといわれています。
そして、「エイプリルフールで嘘をついていいの は午前中まで」となっています。
この午前中ルールの由来は、1660年から始まった王政復古の記念日「オークアップルデー」が由来となっています。
国王への忠誠の証として、この日の午前中だけオークの飾りを身に着けるという習慣です。
オークの飾りをつけていない人は「国王への忠誠が足りない」とからかわれますが、
からかっていいのは午前中だけ。
午後にはからかったことを謝って、翌日にはわだかまりなく過ごす…というものです。
そして、午後にはネタバラシされる習慣になっています。
日本
日本には特別なルールはありません。敢えていうなら「嘘をついていいのは4月1日だけ」ということでしょうか。
前述した「嘘は午前中まで」というのはイギリスのルールですので、
日本では必ずしも守らなくても大丈夫ですが、
エイプリルフールを楽しく過ごすためにも、いくつか注意したいルールがあります。
人が嫌がる嘘はつかない。
いくら嘘であっても、人が傷つくような嘘をつくのはNG。
嘘をつくまえに、「本当にこの嘘が笑えるのかどうか」をよく 吟味しましょう。
その日のうちにネタばらしする。
もし、相手が本当に嘘を信じてしまったら…いつまで信じているのか試してみたくなる気もしますが、
いくら親しい友人や家族であっても、ずっと騙し続けるのはNG。
エイプリルフールはその日のうちに「嘘だよ」とバラすからこ そ面白く笑えるんです。
まとめ
普段、子どもに「嘘をつくのはいけないこと」だと言い聞かせていると、
エイプリルフールをどのように説明すればいいのか悩んでしまいますよね。
そんなときは、下記のようなポイントを意識して伝えてみてはいかがでしょうか?
- 楽しい嘘をつく日だと教える
エイプリルフールは「嘘をついてもいい日」とされていますが、
どんな嘘をついても許されるわけではありません。
そのため、楽しくなるような嘘をつく日だと教えてあげるといいでしょう。
②お手本の嘘をついてみる
子どもに「楽しい嘘をついてみて」といっても、
どんな嘘をつけばいいのかわからないかもしれせん。
そんなときは、ママやパパがまずはお手本の嘘をついてみてはいかがでしょうか?
社会的なエチケットを身につける良い機会かも知れません。